Название | 吾輩は猫である / Ваш покорный слуга кот. Книга для чтения на японском языке |
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Автор произведения | Сосэки Нацумэ |
Жанр | Классическая проза |
Серия | 近現代文学 |
Издательство | Классическая проза |
Год выпуска | 1906 |
isbn | 978-5-9925-1522-0 |
「とうとう飛び込んだのかい」と主人が眼をぱちつかせて問う。
「そこまで行こうとは思わなかった」と迷亭が自分の鼻の頭をちょいとつまむ。
「飛び込んだ後《あと》は気が遠くなって、しばらくは夢中でした。やがて眼がさめて見ると寒くはあるが、どこも濡《ぬ》れた所《とこ》も何もない、水を飲んだような感じもしない。たしかに飛び込んだはずだが実に不思議だ。こりゃ変だと気が付いてそこいらを見渡すと驚きましたね。水の中へ飛び込んだつもりでいたところが、つい間違って橋の真中へ飛び下りたので、その時は実に残念でした。前と後《うし》ろの間違だけであの声の出る所へ行く事が出来なかったのです」寒月はにやにや笑いながら例のごとく羽織の紐《ひも》を荷厄介《にやっかい》にしている。
「ハハハハこれは面白い。僕の経験と善く似ているところが奇だ。やはりゼ