Название | 吾輩は猫である / Ваш покорный слуга кот. Книга для чтения на японском языке |
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Автор произведения | Сосэки Нацумэ |
Жанр | Классическая проза |
Серия | 近現代文学 |
Издательство | Классическая проза |
Год выпуска | 1906 |
isbn | 978-5-9925-1522-0 |
「どうも御退屈様、もう帰りましょう」と茶を注《つ》ぎ易《か》えて迷亭の前へ出す。「どこへ行ったんですかね」「どこへ参るにも断わって行った事の無い男ですから分りかねますが、大方御医者へでも行ったんでしょう」「甘木さんですか、甘木さんもあんな病人に捕《つら》まっちゃ災難ですな」「へえ」と細君は挨拶のしようもないと見えて簡単な答えをする。迷亭は一向《いっこう》頓着しない。「近頃はどうです、少しは胃の加減が能《い》いんですか」「能《い》いか悪いか頓《とん》と分りません、いくら甘木さんにかかったって、あんなにジャムばかり甞《な》めては胃病の直る訳がないと思います」と細君は先刻《せんこく》の不平を暗《あん》に迷亭に洩《も》らす。「そんなにジャムを甞めるんですかまるで小供のようですね」「ジャムばかりじゃないんで、この頃は胃病の薬だとか云って大根卸《だいこおろ》しを無暗《むやみ》に甞めますので……」「驚ろいたな」と迷亭は感嘆する。「何でも大根卸《だいこおろし》の中にはジヤスタ